「ドレッドノート」の歴史

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既にご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、僕には「ドレッドノート」という僕モデルのヨーヨーがありました。業界用語でいうと「シグネチャーモデル」ってやつですね。2009年に国産ヨーヨーメーカー「yoyorecreation」から発売されたヨーヨーですが、現在は既に絶版になっています。

そんなドレッドノートですが「開発の経緯やプロトタイプ、カラーバリエーションなどを知りたい!」というご要望を定期的に頂きますので「ただの自分語りやん」と言われることを覚悟で(^_^;)この機会に思い出話を交えつつドレッドノートの歴史をお話しさせて頂こうかと思います。

発端となった「ビッグベン」について

僕がコンテスタントとしてヨーヨーに取り組んでいた2004年から2008年までの間、ヨーヨージャムのビッグベンを使用していたことは以前のブログでお話ししました。

yyeヨーヨー博物館:ビッグベン

ビッグベンはフルプラスティックヨーヨー・大型・ハイエッジという、お世辞にも高性能競技ヨーヨーとは言い難いスペックであったため、その基本性能の低さを補うべく色々な手入れをしていました。

特に気になっていたのは構造からくる「スリープ時間の短さ」だったので、ウェイトリングを仕込んだり、糸をめちゃくちゃ長くしたり、糸がギリギリ落ちないくらいまでギャップ幅を広げたりと実に様々な工夫をしてきたのですが、どうしても付け焼刃的な脆さが目立ってしまっていました。

そのため使用ヨーヨーの変更を何度も検討していたのですが、何だかんだでビッグベンを使い続けていましたね。

ビッグベンというヨーヨーがとにかく好きだった、というのが一番の理由だったのですが、ビッグベンの代わりを務められるヨーヨーが他に存在しなかったから、という理由も少なからずあったからです。

そのような理由から僕がビッグベンを使い続ける間にも、競技用ヨーヨーはどんどんと進化を続けていきます。

そんな時代の流れに逆らい続ける僕にとって大きな転機となる出来事が起こったのは、競技シーンにおける使用ヨーヨーのトレンドが「金属リム全盛時代からフルメタル全盛時代へと完全に移行した」と確信した2008年のことでした。

個人的に興味のあったローエッジ・Hプロファイル形状という当時最先端のフルメタルモデル「グラインドマシーン2」を購入し使用してみたのですが・・・

その性能差に、僕は愕然としてしまいました。

それまでのフルメタルモデルに対しては「確かに使いやすいけど、まだビッグベンでも戦える」という印象を持っていたのですが、このグラインドマシーン2との性能差だけは看過することが出来ませんでした。

そんな時代の流れを嫌というほど感じた出来事の後に出場した2008JNでは「決勝進出者15名のうち10名の使用ヨーヨーがフルメタル」という事実を突き付けられ、使用ヨーヨーの変更を強く考えさせられてしまいました。

ですが、ビッグベンの代わりとなるような大型の競技ヨーヨーは他にはありません。また、大きいヨーヨーが一番しっくりくるし、このサイズを今後も使い続けたい、という思いもありました。

 

転機

そんな中、2008JNの翌日にyoyorecreationオーナーの城戸健吾氏から「おっくん、でかいメタルヨーヨー作ってみん?」と、声を掛けられたのが「ドレッドノート」開発のきっかけでした。

大型フルメタルという需要の少なさに、実際にはどうなるのかなと思っていたんですが、同年11月には早くもファーストプロトが完成しました。

 

  • ・yoyorecreationの2作目である「スターゲイザー」で実装されたフラットなフェイスとショートな軸周り
  • ・同社の代名詞とも言える競技ヨーヨーの理想形状「ステップストレート」の採用
  • ・70g前後の、ややずっしりとしつつも扱いやすい重量
  • ・極限までのローエッジ化
  • ・ビッグベンサイズの直径

 

・・・といった感じで、僕の要望を全て盛り込んだ、まさに「ぼくがかんがえたさいきょうのヨーヨー」だったのですが・・・

 

ファーストプロト

出来上がってみると、手違いにより76gというかなり重めのヨーヨーになっており、重量バランスの悪さからか、ブレイクアウェイをした際にヨーヨーが大きく後ろに流れる欠点が目立ってしまっていました。

ですが「戦える大型フルメタルヨーヨー」がこの世に生まれたという衝撃と感動は、今でも決して忘れることは出来ません。

しかし、お世辞にも一般向けとは言えない重量や、スターゲイザーでも欠点となっていた軸周りの脆さ、そして後ろに流れてしまう上に決して外周寄りではない重量配分など、まだまだ改修すべきポイントはたくさんあったため、問題点を解決すべくセカンドプロトの制作が始まりました。

 

セカンドプロト

城戸氏と問題点・改善点を話し合い制作してもらったセカンドプロトですが、今度はなんと重量78g、極端な形状と内に寄り過ぎている重量配分の関係で、全てがめちゃくちゃ鈍重なフィーリングとなっている、城戸氏も認める失敗作でした。

ただ、軸周りはファーストプロトと比べ格段に強度が上がっているため全体的な剛性が高く、鈍重な使用感さえ我慢できれば抜群の安定感を誇るヨーヨー・・・だったのですが、こちらもファーストプロトに引き続きお世辞にも万人向けのヨーヨーとは言い難かったため、強固な軸周りの構造だけは引き継ぎつつ、その他の部分は再度全面的な改修を行うこととなりました。

そして出来上がったサードプロトはこちらです。

 

サードプロト

サードプロトは形状、軸周り、剛性、糸の抜け、フィーリングの全てが抜群に良く、重量も扱いやすい68gに抑えられている素晴らしいモデルに仕上がりました。

極限までのローエッジ化により大型の割には小回りが利き、大型の特権である安定感ももちろん持ち合わせているという、大型に慣れた僕にとっては死角のないヨーヨーです。

また、これまでのプロトでは解決できなかった「投げ出しが後ろに流れる」という大型ならではの欠点も完全に克服されており、最初から最後まで気持ちよくトリックを行える「万人におすすめできる」大型フルメタルの決定版といえる仕上がりでした。

あと、確かこのサードプロトがyoyorecreationで初めてレーザー刻印がなされたヨーヨーだったと思います。

003っていうのは、この時点ではドレッドノートがyoyorecreation3作目のヨーヨーだったことを表しています。最終的に先に発売されたのはスレイプニルだったので、ドレッドノートは4作目のヨーヨー、ということになりますね。

こうして製品化にこぎつけたドレッドノートですが、まだまだ改修できるポイントがある、とのことだったので、より細かな見直しが図られることになりました。

 

製品版ドレッドノート

最終的なスペックは、重量67.5g、直径62mm、全幅45mm、となりました。

より外周寄りの形状になったものの使用感は全く損なわれておらず、サードプロトと比べ明らかに全体的なバランスが向上しており、城戸氏には本当に驚かされました。

リリースから9年が経過した今でも第一線で十分すぎるほど戦える「大型フルメタルの決定版」が誕生した瞬間でした。

ファーストロットはレッドだったのですが、ブラストブラックやブラストシルバーなどが続々リリースされ(持ってません(^_^;))ピンクとシルバーのリリース時にはパッドが0.5mm厚から1.0mm厚に変更され、軸周りにも更なる改良が加えられました。

事実上、このピンクがドレッドノートの最終ロットとなりましたね。うろ覚えですが作りすぎたらしいです。笑

 

ドレッドノートG

以上がドレッドノートの歴史ですが、僕が現役コンテスタントだった時に超重量のビッグベン(81g前後)を使用していたことが考慮され、超重量のドレッドノート「ドレッドノートG」もリリースされました。

直径と全幅はそのままに、重量を79gまで上げた滅茶苦茶なヨーヨーだったのですが、投げ出し、使用感、安定感の素晴らしさが、最初に届いたファーストロットに全て込められていたのです。

ちなみに、僕が改造した超重量ビッグベンはスリープ力を補うべく、白痴のように総重量を上げただけの「ただの重いヨーヨー」でした。

そのせいもあり、全てが鈍重で、使うたびに疲れるしイライラする、練習が億劫になってしまうような性能だったんですが、ドレッドノートGは

 

「重いけど扱いやすく、使っていて滅茶苦茶楽しい」

「大型にありがちな投げ出しの引っ張られる感じがほとんど無い」

「重さと大きさで恐ろしいほど安定しつつも、それなりに機敏に動く」

 

といった感じで、超重量ビッグベンを使っていた時に感じていた全ての不満を解消してくれました。

この恐ろしいほどバランスが取れたありえないヨーヨーを前に僕はただただ感動し、しばらく無心で振り続け、当分このヨーヨーを使っていくことを即決しました。

Gは、シルバー、ブラストシルバーがリリースされた後、パッドが1.0mm厚に変更されたブラック、ガンメタル、中二病全開のブラストカラーも発売されました。

特にこのブラックとレッドのスプラッシュは一番のお気に入りです。

こうして様々なカラーがリリースされ続けたドレッドノートとドレッドノートGですが、2013年に既存機種が全て廃盤になった際に合わせて生産が終了し、今に至ります。

今はリベリオンの「ドレッド」「ドレッドG」にその遺伝子がしっかり受け継がれているので、大きなヨーヨー、重いヨーヨーに興味がございましたら、そちらを手に取ってみて下さい。

 

さいごに

長文になりましたが、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

そして、最初から最後まで真心を込めて一生懸命ドレッドノートを設計し、僕のわがままを聞き入れ続けてくれたyoyorecreationオーナーの城戸健吾さん、本当にありがとうございました。

 

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